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中小企業が新規顧客開拓を実施するためのタスクの管理方法について

中小企業は大企業に比べて経営資源が限られているため、営業に割ける時間や人材も限られています。特に小規模企業では営業専門の部門がなく、他の業務と兼任で営業を行っていたり、経営者が自ら行っていることも少なくありません。そのため、新規顧客開拓は後回しになりがちで、既存顧客喪失のリスクヘッジや事業成長のための取り組みが十分にできていません。

本記事では、「時間管理のマトリックス」という管理手法を活用した中小企業が新規顧客開拓を継続的かつ効率的に実施するためのタスクの管理方法についてお伝えします。

時間管理のマトリックスとは

時間管理のマトリックスとは、「7つの習慣」1)という世界的に有名な本で、スティーブン・コヴィー氏が提唱したタスク管理法です。業務(タスク)を「緊急度」と「重要度」の2軸を使い分類するため、「緊急度と重要度のマトリクス」とも呼ばれています。

限られた時間の中でどれだけ業務を効率的に行なえるかが大切であり、そのためにはタスクに適切な優先順位をつけることが重要です。

緊急度と重要度の判断基準

業務の緊急度と重要度の判断基準は以下の通りです。

業務の緊急度
「緊急度」では、早急に対応すべき業務かどうかで判断します。緊急度の高い業務は、納期が決まっていて期間が短い業務、逆に緊急度の低い業務は、納期がないため、今すぐ対応しなくても短期的には困らない業務を指します。

業務の重要度
「重要度」では、本質に関わるかどうか、つまり自己や会社の成長、仕事の成功に関わる業務かどうかで判断します。重要度の高い業務は、適切に処理しないと中長的には自己の成長機会を逃してしまうなど、会社の利益低下に繋がってしまいます。

時間管理マトリックスが有効な理由

人間は多くの業務を抱えると、業務の優先順位を意識する余裕がなくなり、「緊急性」の高いものや目に付いた業務から取り掛かる傾向があります。しかし、そうしていると時間に追われている状態が恒常化し、自己投資や新規顧客開拓など先を見据えた戦略的な取り組みなどの本質的に重要なタスクは後回しになってしまいます。

コヴィー氏の提唱する時間管理マトリックスは、現時点の仕事の生産性を上げるためだけではなく、将来的な価値を生み出すためにも非常に重要だと言えます。

以下でその4つの領域について順に説明します。

  • 【第1領域】緊急かつ重要なこと

    第1領域は、「必須の領域」とも呼ばれ、緊急度も重要度も高い業務やタスクです。例えば、確度の高い見積案件の対応や、顧客からのクレーム対応、期日が迫っている納品対応、など必ず実行しなければならない業務やタスクが第1領域に当てはまります。

  • 【第2領域】緊急ではないが重要なこと

    第2領域は、「効果性の領域」とも呼ばれ、緊急度は低いが重要度が高い業務やタスクです。例えば、営業戦略の策定や、研修やセミナーの受講、顧客名簿の整理、など将来への価値を生む重要な業務やタスクが分類されます。第2領域は緊急性が低いので後回しにしがちですが、第2領域を実施することで、クレーム対応などの第1領域の仕事が減ったり、将来への価値を生むなどの効果が期待できます。よって、中長期的な視点で考えると時間を費やすべきは第2領域となります。

  • 【第3領域】重要ではないが緊急なこと

    第3の領域は、「錯覚の領域」とも呼ばれ、重要性は低いが緊急性が高い業務やタスクです。例えば、生産性を生まない会議への参加、誰も目を通さない日報の作成作業、などは第3領域に入ります。人間は仕事の優先順位を緊急性で判断しがちなので、緊急性が高い第3領域の業務を重要と錯覚してしまう傾向があります。そのため、日ごろ意識せずに業務をこなしているとこの第3領域の業務に忙殺されてしまいます。よって第3領域の業務をなくしたり、内容を改善したりすることが必要です。

  • 【第4領域】緊急でも重要でもないこと

    第4領域は、「浪費・過剰の領域」とも呼ばれ、重要性も緊急性も低い業務やタスクです。4領域の中で最も優先度が低い領域です。
    例えば、移動時間や待ち時間、さらには雑談や長電話など業務とは呼べないような内容です。

新規顧客開拓は第2領域

企業や個人が成長・発展していくためには、第2領域の業務をいかに計画的に実施していくかが重要であり、新規顧客開拓もこの第2領域に該当します。何故なら、第2領域の業務やタスクは、将来の価値を生み出す効果が期待できる取組みであったり、第1領域の業務を減らすことに繋がる取り組みだからです。しかし、第2領域の業務は緊急性が低く、やらなくても普段は困らない(=納期がない)業務でもあるため、私たちはこの納期がない第2領域の業務をつい後回しにしてしまうのです。
新規顧客開拓も短期的には成果に結び付きづらく(=普段やらなくても困らない)中長期的な視点が必要なため、後回しになりやすいことです。

第2領域に注力する方法

第2領域の業務に注力する具体的な方法は以下の通りです。

  • 第4領域(緊急度も重要度も低いタスク)のやらなくても支障のない業務は、徹底的に削減または効率化を検討します。
    例)雑談の時間の短縮
      顧客との会議のオンラインへの切り替えによる移動時間の削減(※対面の必要性の有無の検討が必須)
  • 第3領域(緊急度は高く重要度は低いタスク)は、必要な取り組みかどうかを改めて精査し、中止もしくは効率化、他者への業務移管などを検討します。
    例)生産性の低い会議の中止・もしくは内容の改善
  • 第2領域(緊急度は低いが重要度は高いタスク)は、実施する日時を予め決めておき、必ず実行します。ここで重要なのは実施する日時を決めた後に他の業務の予定を絶対に入れないということです。
    例)展示会出展の準備のスケジューリングによる計画的な実行
  • 第1領域(緊急度も重要度も高いタスク)についても、第2領域の業務実行による効率化の可能性を検討します。また、真に重要な取り組みなのかを今一度検討します。
    例)顧客向けの提案書作成のスキルアップによる時間短縮

まとめ

新規顧客開拓は、短期的には成果に結び付きづらいため後回しになりやすいですが、企業の成長・発展には重要な取り組みです。時間管理のマトリックスを有効活用して、計画的かつ継続的に実行し、成果に結び付けて行きましょう。

参考文献:
1)コヴィー, S. R. (2020). 完訳7つの習慣.キングベアー出版.

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