展示会フォロー営業|成果を最大化する実践ステップ完全ガイド
展示会出展は、中小企業にとって非常に重要な新規顧客開拓手法です。しかし、展示会は「出展しただけ」で成果が生まれるわけではありません。展示会の成果は、次の“売上方程式”によって決まります。
展示会の売上 = 事前準備 × 当日運営 × フォロー営業
この3つは掛け算で成り立っており、どれか1つでも欠けると成果はゼロになります。なかでも多くの企業が弱いのが「展示会後のフォロー営業」です。展示会直後は通常業務が戻ってくるため、フォローが後回しになってしまい、せっかく得た名刺を活かしきれないケースが少なくありません。
本記事では、展示会後のフォロー営業で成果を最大化させるために必要な実践ステップを、中小企業でも取り入れやすい形で整理しています。ぜひ、展示会への投資を無駄にしないためにも、フォロー営業の強化にご活用ください。
展示会で成果が出ない本当の理由(Why)
展示会後のフォロー営業がうまくいかない企業には、驚くほど共通した原因があります。まずは「なぜ成果が出ないのか」をはっきりさせることで、改善すべきポイントが明確になります。
展示会後の事務処理がフォローを妨げている
展示会が終わると、たまったメール対応、社内報告、既存業務の処理など、通常業務が一気に押し寄せます。その結果、展示会当日に得た名刺が数日〜数週間放置され、展示会の記憶が薄れるだけでなく、「今さら連絡しづらい」という状況に陥ります。
フォロー営業はスピードが命です。展示会後の48〜72時間を逃すと、案件化率は大きく低下します。
質の低い名刺がフォロー効率を下げている
展示会では「名刺の数=成果」と錯覚されがちですが、実際には質の低い名刺を大量に集めると逆効果です。
興味が薄い来場者まで無理にブースへ呼び込むと、権限がない担当者、ニーズがない層、そもそも対象外の業界などが混ざり、フォロー営業の効率が著しく下がります。
重要なのは“質の高い名刺だけを集めるブース運営”です。
展示会来場者の構成比を誤解している(“今すぐ客”は5%未満)
多くの企業は「展示会に出ればすぐに成果が出る」と思い込みがちですが、来場者の構成比は次の通りで、現実は大きく異なります。

- 今すぐ客(〜5%)
- いずれ客(15〜30%)
- ニーズなし(40〜60%)
つまり、展示会における勝負の相手は“いずれ客(15〜30%)”です。
展示会経由の案件は短期決着ではなく、数ヶ月〜1年かけて育ちます。この構造を理解せず「すぐ成果を期待」してしまうと、フォローが続かず、成果が出ない原因になります。
展示会後のフォロー営業は、まさにいずれ客をどう育てるかで成果が決まるのです。
成果を出すために展示会前から準備すべきこと(準備編)
展示会のフォロー営業は、「展示会が終わってから始まるもの」ではありません。実は展示会前の準備段階で、フォロー営業の成功確率の半分以上が決まります。フォローをスムーズかつ効果的に進めるためには、展示会前から“フォローを前提とした設計”を行っておくことが不可欠です。
ここでは、展示会の成果を最大化するために、事前に準備しておくべき3つのポイントを整理します。
質の高い名刺を集める仕組みを作る(来場前段階)
フォロー営業の質は、展示会当日「どれだけ質の高い名刺を集められるか」で大きく左右されます。質の低い名刺が大量に集まると、フォローの難易度が急上昇し、結果として追い切れずに終わってしまいます。
そのため、展示会前の段階で“質の高い名刺が自然と集まるブース設計”を行うことが重要です。
質の高い名刺を集めるためのポイントは次の通りです。
- キャッチコピーで「何の会社か」を一瞬で伝える
来場者が“自分ごと化”しやすくなります。 - タペストリー・パネル・展示物の統一感
視覚的に理解しやすく、立ち止まりやすくなります。 - 誰でも呼び込むのではなく、ターゲットが興味を持つ導線設計
質の低い名刺を減らし、見込み度の高い来場者を惹きつけます。 - サンプルや資料の見せ方も事前に調整
技術系の来場者にも“刺さる”展示にします。
展示会のフォロー営業は“名刺の質”がすべての起点となるため、展示会前の段階から「誰に来てほしいのか」「どんな情報を伝えるのか」を明確にしたブース構成が必須です。

コンタクトシートを準備し、当日の情報を可視化する
展示会後のフォロー営業を成功させるうえで、最も強力なツールがコンタクトシート(アプローチシート)です。
展示会当日に会話した内容は、翌日には記憶が薄れてしまいます。そこで、名刺交換した相手ごとに以下をすぐに記録できるよう、シートを事前に作成します。
- S/A/B/C ランク
- 当日の会話内容(課題・困りごと・現状)
- 導入予定時期(T:Timeframe)
- 相手の反応・温度感
- “次にこちらがすべき行動”
- こちらが伝えた資料・興味を示したポイント
このシートがあるだけで、
- お礼メールの文章が相手専用に最適化できる
- 電話フォローが圧倒的にやりやすくなる
- 商談化のタイミングが正確に判断できる
など、フォロー営業の質が大幅に上がります。
展示会前にフォーマットを用意し、スタッフ全員が同じ基準で記録できる状態にすることが非常に重要です。
お礼メール・フォローテンプレートを事前に作っておく
展示会後は通常業務が戻り、フォローに十分な時間が取れません。そのため、以下のようなテンプレートを展示会前に用意しておくことが大切です。
- 全体向けお礼メール(ベース文)
- Aランク・Bランク向けの個別最適化メール
- Sランク向けのアポ獲得メール
- 展示会資料送付メール
テンプレートを用意しておくと、「メール作成に追われて連絡が遅れる」という事態を避けられます。
さらに、テンプレにコンタクトシートから1行の“来場者固有情報”を差し込むだけで、「あなたに向けたメール」という印象になり、開封率・返信率が大きく向上します。
展示会のお礼メールについては、こちらの記事「展示会 お礼メールの書き方完全ガイド|確度別の例文つきで今すぐ使える」を参考にして下さい。
展示会後すぐ(1週間以内)にやるべきこと(短期編)
展示会が終わった直後から、フォロー営業の成否が決まります。展示会後は通常業務が戻ってきて忙しくなりがちですが、ここでスピード感を持って動けるかどうかが、案件化率に大きく影響します。
特に展示会終了後 の翌週1週間以内は“ゴールデンタイム”です。来場者が展示会の記憶を鮮明に持っているこのタイミングでアクションを起こすことで、競合他社に差をつけられます。
ここでは、展示会後すぐに取り組むべき3つの実務ステップを整理します。
展示会期間中のコンタクトシートを基に名刺のS/A/B/C分類を行う
展示会で獲得した名刺は、まずS/A/B/C の4つに分類します。
これはフォロー営業の優先順位を決めるために不可欠で、分類が曖昧だと「誰からフォローすべきか」が分からず、結果として重要な相手への対応が遅れてしまいます。
- S(今すぐ客):すぐに導入したい・急ぎで相談したい
- A(数ヶ月以内):具体的な課題があり、検討意向が高い
- B(いずれ客):課題はあるがタイミングが未定
- C(その他):ニーズなし、情報収集のみ
特に、
- Sランクは即対応
- Aランクは翌週中にアポイントを取る
ことが重要です。
Bランクは中長期フォローの対象となるため、ここでは詳細整理のみ行い、追う順番は後述の中長期編で扱います。
来場者全員へ“個別最適化”されたお礼メールを送る(翌週2~3日時間以内)
展示会後のお礼メールは、フォロー営業の第一歩です。ただし「テンプレをそのまま送る」だけでは効果が薄く、来場者の記憶にも残りません。
そこで重要なのが、コンタクトシートに記録した“当日の会話内容を1行だけ盛り込む”ことです。
メールに盛り込むべき3つの要素は次の通りです。
- 来場のお礼
- コンタクトシートに基づく個別の一言
例)「●●の課題でお話した件、参考になれば幸いです」
例)「展示したサンプルに興味を持っていただき嬉しく思います」 - 次のアクションの提示
資料送付/アポイント候補の提示/追加情報案内 など
これだけで「あなたに向けたメール」という印象になり、開封率・返信率は大幅に上がります。
S/Aランクには電話でアポイントを取る(翌週の月曜〜火曜が勝負)
展示会後はメールだけでは不十分です。特にS/Aランクには電話が必須です。
展示会が木〜金開催の場合、翌週の月曜・火曜が勝負です。記憶が残っているうちにアポイントにつなげることで、案件化率は大きく向上します。
電話フォローのポイントは次の通りです。
- 展示会で話した内容を冒頭に入れる
- 「具体的なお話をもう少し伺えれば」とスムーズにアポ提案
- 候補日時は“こちらから複数提示”
- 無理に詰め込まず、相手の負担にならない範囲で調整
Sランクは早ければ当日〜翌営業日で商談化するため、スピード対応が最も重要です。Aランクも温度感が高いため、早い段階で接点を持つことで、競合に先んじることができます。
いずれ客(A/B)を案件化する中長期フォロー(中長期編)
展示会の成果は、展示会終了後のフォロー営業で決まります。特に、いずれ客(A/B ランク)をいかに育てられるかが、展示会成果の大部分を左右します。
展示会来場者の構成比でも触れた通り、「今すぐ客」は全体の5%未満であり、残りの多くは中長期的に検討を進める層です。この層こそが展示会最大の“成果の源泉”であり、正しいフォローができている企業と、していない企業では、半年後〜1年後に大きな差となってあらわれます。
ここからは、A/B ランクに対して中長期的に案件化するための実践的なフォロー方法を体系的に整理します。
いずれ客こそ展示会成果の“核心”である理由
展示会では今すぐ決裁するユーザーよりも、「課題はある」「ただ検討のタイミングはこれから」という層が圧倒的多数です。
この層に対して、
- 定期的に接点を持つ
- 相手にとって役立つ情報を届ける
ことで、商談化の可能性は飛躍的に高まります。
A/Bランクを放置してしまう最大のデメリットは次の通りです。
- ニーズが顕在化した瞬間に他社へ問い合わせる
- 検討タイミングが遅すぎてフォローが追いつかない
- 一度関係が途切れると戻すまでに時間がかかる
逆に、A/Bランクの育成を丁寧に行っている企業は、展示会から半年後〜1年後も継続して新規案件が生まれ続ける仕組みを構築できます。
人的フォロー営業の実践(訪問・オンライン)
A/Bランクのフォローは、対面 or オンラインでの“人的接点”を欠かすことができません。ここでは、中長期フォローを成功させるための具体的なポイントを紹介します。
① 相手にメリットのある情報を持って訪問する
ただ訪問するだけの“顔出し営業”では価値がありません。必ず以下のような「相手が得する情報」を1つ用意して訪問します。
- 同業他社の導入事例
- 生産性向上や効率化につながる業界情報
- 製造工程の改善ポイント
- 補助金・助成金情報
- 展示会で紹介した製品の追加資料
- 他社比較や導入検討のポイント
小さな情報でも、来場者にとって価値を感じる内容であれば信頼関係は大きく深まります。
② 提案訪問と状況確認訪問を使い分ける
毎回“提案営業”をする必要はありません。むしろ、次のように訪問の種類を分けることで負担を抑えつつ継続接点を作れます。
■ 提案訪問
- 課題に対する具体的なソリューション提案
- 見積りの提示
- 技術的な相談への対応
■ 状況確認訪問
- 最近の課題や状況の変化をヒアリング
- 導入時期の再確認
- 競合状況の把握
状況確認は短時間でも十分効果があり、「話しやすい相手」と認識されることで検討が進んだ際に相談が戻ってきやすくなります。
③ オンライン面談を適度に挟み、接点を密にする
すべてを訪問で行う必要はありません。むしろ、15〜20分のオンライン打合せを随所に挟むことで、時間コストを抑えながら接点の密度を上げることができます。
オンラインの有効な使い方は次の通りです。
- 資料説明や事例紹介
- 見積り前の簡易ヒアリング
- 技術的な質問対応
- 導入の目安時期の確認
展示会 → オンライン → 訪問 → オンラインと組み合わせることで、自然なフォロー営業が可能になります。
④ 「また来ます」と言える関係性づくり
初回訪問・オンラインの最後に、
- 「次回は●●の資料をお持ちします」
- 「また状況を伺わせてください」
という “次回前提の一言” を添えることで、フォローが途切れにくくなります。これはシンプルながら非常に効果的で、来場者からも「気軽に相談できる相手」と認識されます。
情報提供によるナーチャリング(メルマガ/事例/ニュース)
A/Bランクのフォローは「人的接点」に加え、“情報提供による継続接触”が不可欠です。
ここで鍵になるのが「ザイアンスの法則(単純接触効果)」です。人は、接点が多い相手ほど好意・信頼が高まるという心理が働きます。
配信すべき内容例
- 新しい加工事例(写真付き)
- 展示会の技術トレンド
- 業界の動向とポイント
重要なのは、営業色を前面に出さず、相手にとって“役立つ情報”に寄せることです。
配信頻度の目安は、1〜2ヶ月に1回程度。負担のない頻度が最適です。
「いずれ客」は競合がフォローしていない=最大の差別化ポイント
多くの企業は展示会が終わると「今すぐ客」だけを追い、A/Bランクのフォローを途中でやめてしまいます。
つまり、いずれ客のフォローは競合が弱い領域=最大のチャンスです。
この層を丁寧に育てるだけで、半年〜1年後に突然の問い合わせが生まれ、展示会投資の回収率が大きく変わります。
まとめ|展示会の成果は“フォロー営業の質”で決まる
展示会は「出展したら成果が出るイベント」ではありません。展示会の成果は、冒頭でお伝えした次の“売上方程式”に集約されます。
展示会の売上 = 事前準備 × 当日運営 × フォロー営業
この3つは掛け算であるため、どれか1つでも弱いと成果は大きく低下します。なかでも多くの企業がつまずきやすいのが展示会後のフォロー営業です。
- 展示会後48〜72時間のスピード対応
- 名刺のS/A/B/C分類による優先順位づけ
- S/Aへの迅速なアポイント
- A/Bランクの中長期育成(人的接点+情報提供)
- 来場者目線の価値あるフォロー
これらを着実に実践できている企業は、展示会の成果が安定し、高い確率で毎回の出展効果を回収しています。一方、フォロー営業が後回しになってしまう企業は、どれだけ展示会準備やブースを工夫しても、成果につながらないケースが多くあります。
展示会は「出展すること」ではなく、「フォロー営業で成果を生み出すこと」が本質です。
今すぐ客(S)だけでなく、“いずれ客(A/B)”を丁寧に育てることで、展示会は継続的に案件が生まれる営業資産となり、中小企業でも大きな成果を獲得することが可能です。
ぜひ本記事の内容を参考に、次回の展示会では「フォロー営業」を中心に据えた戦略で臨んでみてください。展示会への投資が、確かな売上と商談へ結びつくはずです。
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